「秒速5センチメートル」から「君の名は。」へ
君の名は。をこの間ついに観たのでダラダラ感想。
面白かった。
秒速5センチメートルにドハマリした高校生当時。
それ以降他の新海誠作品は観てなかった。
「秒速」から一気に飛んで「君の名は。」を観ての感想は、当時の作家性と現在のエンタメ性がゴチャまぜになって、でもそれぞれの調和はとれてなくて、今までに観たことない感覚があった。
自分でも何言ってるのかよーわからんけども。
尖った部分と平らな柔らかい部分がはっきり分かれていて、お互いがシーンの中に混ざらず、中間色がない。
面白いには違いないんだけど、「この作品はどっち側なんだろう」と不思議な見応えがあった。
入れ替わりものの楽しさ。作家性とエンタメ性
「君の名は。」が 大ヒットしたのはエンタメ性に寄ったところが大きい。
対して秒速5センチメートルは作家性が強く、大衆受けするような作りはしていない。
例えば第一話「桜花抄」で電車が止まるシーン。
普通なら退屈に思う人が多いから、エンタメ意識するならもっと省略するところ。
でもあえて省略しないことで、会えない二人の間に敷かれた障害を表現していた。
じゃあ「君の名は。」は全編エンタメに振り切れたのかというとそうでもないなーと感じた。
序盤ははっきりとエンタメに特化していて、入れ替わりものの面白さがぎゅっと凝縮されている。
特にそれぞれが生活で抱える問題を入れ替わりによって解決していくのが楽しかった。
三葉の嫌味な同級生を瀧が撃退し、瀧の片思いを三葉が前進させる。
個人的にはもっとこの流れに尺割いてほしかったなー。
割と早いタイミングで隕石が落ちてしまい、入れ替わりが起こらなくなる。
お楽しみタイムはここまでで、それまでの雰囲気とは一変。
シリアスムードに、たまにコメディ描写が挟まれる程度になる。
こまけえこたぁいいんだよ! と矛盾も突き抜ける面白さ
突っ込みどころはある。
特に大きなのが時間のズレに気づかなかったこと。
全く気づかないのは無理がある。
入れ替わりからもとに戻ると記憶が曖昧になる、という設定はあるにせよ、少なくとも入れ替わっている間には、カレンダーとかスマホとか、いくらでも時間のズレに気づけたんじゃないか。
でも結局作品の力が圧倒的なので「そんなことどうでもいいじゃん。だって面白いし!」となってしまった。
そもそも矛盾が気になるような作品は矛盾がなかったところでつまらないと思うし。
「君の名は。」は構わずグイグイ引き込まれた。
奥寺先輩と司は生々しい結末を迎えてほしかった
「秒速」ファン的にこうなって欲しかったなーっていうのが奥寺先輩と司カップル。
裏設定で結婚したことが公式で明かされてるけど「エンタメしやがったな」って思った笑
そこは「二人は付き合って東京で同棲もしてたけど、結局別れて奥寺先輩は別の男と結婚する」くらいの現実の生々しさがほしかった。
いいか?
そういう展開で凹みたいんだよこっちは。
三葉の故郷を瀧一行が訪れるシークエンスで、奥寺先輩と司がみるみる距離を縮めていくのはそういう意味で良かったな(
まとめ
作家性とエンタメ性の調和の取れてなさが逆に良かった。
進化の途中? というか。
「天気の子」も劇場で観てみようという気になった。
ヒットした要素には日本語の美しさや伝統への敬意が日本人に響いたのもあると思う。
ジブリ級の名作もいつか来るんだろうな。