障害者と半魚人の異色のラブストーリー
2017年アメリカ公開「シェイプ・オブ・ウォーター」。
監督は「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ。
映画監督なんだけど、小島秀夫監督の幻に終わったゲーム「サイレントヒル」最新作の開発にも関わってた方。
大人の事情で制作が挫折したけど、小島監督の最新作「デス・ストランディング」には出演者として関わっている。
本作はアカデミー賞受賞していて、マイノリティの苦難を扱った説教臭い内容かなと思ったらそこまででもなかった。
「パンズ・ラビリンス」もそうだけど、デル・トロ監督のダークファンタジーな世界観が癖になる。
「シェイプ・オブ・ウォーター」ネタバレあらすじ
喋れない障害を持つイライザは映画館の上にあるアパートに暮らしていた。
朝起きて、卵をゆで、風呂に入って、仕事に行く。
代わり映えのない毎日が過ぎていく。
イライザは孤独だった。
ある日、イライザが清掃員として働く宇宙センターに謎の生物が運び込まれる。
人の形をしているが、それには鱗があり、エラがあり、水かきがあった。
それは半魚人だった。
見るからに悪者の軍人ストリックランドが半魚人に指を噛みちぎられる事件の後、イライザは半魚人と交流を試みる。
イライザが敵意を持たず、ゆで卵を与えたことをきっかけに、二人は親密になっていく。
イライザの孤独な人生に小さな光が差し込んだ。
平穏な交流が続いていたある時、ストリックランドの進言で、半魚人が殺されて生体解剖されることが決まってしまう。
イライザは密かに計画を立て、親友のゼルダ、隣人でゲイのジャイルズ、生体解剖に反対する研究員ホフステトラーらの協力を得て、半魚人を宇宙センターから救出することに成功する。
自宅で匿うことになった半魚人と、イライザは濃密な時を過ごす。
それこそ、今までの彼女の人生に欠けていたピースだった。
しかし悪者ストリックランドの魔の手が迫る。
手始めにホフステトラーが拷問の果てに殺され、半魚人を救ったのがゼルダとイライザであることがバレる。
ゼルダは決して口を割ろうとしなかったが、彼女の夫が秘密をバラしてしまい、いよいよストリックランドはイライザと半魚人の元へ向かう。
半魚人を急いで運河に逃すべく奮闘したイライザだったが、ストリックランドに追い詰められ、二人ともピストルに撃たれて倒れてしまう。
しかし、半魚人はまたたく間に傷を修復して立ち上がる。ストリックランドを殺すと、イライザを抱えて運河へ飛び込む。
半魚人の神秘の能力によって蘇ったイライザは、彼との幸せを確信する。
感想 「はいはいバッドエンドバッドエンド」と思わせてからの
映画の始めの方ですでに「あーこれどっちか死んで終わるな」と思ってしまった。
ロミオとジュリエット系の悲恋もの。
同じような立場も人種も違う者同士の恋愛ものというと美女と野獣があるけど、あれはディズニー作品なのでバッドエンドの心配がない。
こっちはディズニー印もなく、「パンズ・ラビリンス」のデル・トロ印の上、ハードにダークな世界観で描かれるラブストーリーなので、ハッピーに終わるわけないなと決めつけていた。
どっちか死んだほうがなんか作品としてまとまった感じになるし。
「死んじゃって悲しいわな~。でも人生そんなもんやで。ほなエンドロール!」みたいな。
そして実際のクライマックス、思ったとおり半魚人が銃で撃たれる。
「ほらなー」と萎えた直後、イライザも撃たれてしまう。
あれ? と思った。
どっちも死ぬパターンはなくね?
この辺で混乱。
半魚人チート能力で蘇る。悪を打倒し、イライザもザオリク。
二人共蘇って幸せに暮らしましたとさ。
と、まさかのハッピーエンド。
事前にバッドエンドと決めつけてしまい申し訳ありませんでした。
期待を良い意味で裏切られた結末。
そういうもんじゃんっていう思い込みを反省します。
まとめ
半魚人の「うっ」とくる見た目もだんだん慣れて格好良く見えてくる。
「アリータ バトルエンジェル」のアリータが可愛く見えてくるのと同じ。
観終わって気持ちのいい異色のラブストーリーでした。