1990年日本公開「シコふんじゃった」。
今見てもかなり面白い。
監督は「Shall we ダンス?」の周防正行。
主演は本木雅弘。当時の相撲ブームに逆らった斜に構えた大学生役を好演。
30年前の映画でありながら「スポ根もの」に期待するすべてが詰まったコメディ映画。
最近こういう王道映画もないような。
ちょっと前に話題になった「女性が土俵に上がるタブー」についても、この作品ですでに問題提起されており、その点でも古臭さを感じなかった。
今年12月に周防監督最新作「カツベン」が公開されるので鑑賞。
竹中直人こっちにも出てる笑
「シコふんじゃった」あらすじ
卒業の危機に直面した大学生が、就職の交換条件に廃部待ったなしの相撲部に入部させられる。
最初はイヤイヤだったのが、個性豊かな落ちこぼれ仲間たちと共に練習や試合を重ねるごとに熱中し、成長していく。
ネタバレ感想 落ちこぼれたちの下剋上
どストレートに面白かった。
細かいところまで味付けしてあるキャラクターも良いし、挫折を繰り返しながらもコツコツ成長し、最後にドカンと勝つストーリーも良い。
典型的無気力な若者の秋平、緊張しいでお腹にイチモツ抱えた青木、臆病癖のある田中、男になりたい春雄、お尻を見せたくないスマイリー、どのキャラも個性付けがはっきりしてて、しかも応援したくなる。
部員それぞれがそれぞれの課題を克服していき、最後には勝利を掴む流れも心地よかった。
気になった点は「弱小相撲部の復活」という視聴者が食いつきやすい筋書きがあるとはいえ、テレビがなんのきっかけもなく取材に来るのは不自然、と思ったくらい。
スポ根もののお手本のような映画。
このジャンルはこれ以上新しくなる必要はない、と思うほど完成されてた。
「この世界の片隅に」の曲が流れる
夏合宿のシーンで聞き覚えのある曲が流れて興奮した。
「この世界の片隅に」のオープニング曲として有名な「悲しくてやりきれない」。
てっきりコトリンゴの曲と思ってたけど68年の曲なのか。
「シコふんじゃった」ではおおたか静流がカバーしている。
夏景色のシーンによく似合っていた。
女性は土俵に上がってはいけない伝統
怪我をして土俵に上がれなくなった春雄に代わり、彼に恋するぽっちゃり正子が出場を申し出るシーンがある。
女は土俵に上がれない、ということで正子は胸をテーピングで隠し、男として出場する。
その後もマネージャーの夏子が土俵を横断せず、わざわざ回り込んで行くカットがあったり、ラストの秋平と夏子がシコを踏むシーンでも、この辺は明らかに意識されている。
相撲協会のイメージは近年地獄に落ちてるので、ポリコレ棒を振り回す側に立つわけじゃないけど、これ本当に守るべき伝統なのか? とは思った。
まとめ 「カツベン」も期待
たまによくある「とりあえず観てみるかぁ」程度で観始めて、その映画が当たりで得した気分になるやつ。
「シコふんじゃった」はまさにそれだった。
モックン格好いいし清水美砂きれいだし竹中直人は変わらないし。
観て損なしの映画でした。
周防監督最新作「カツベン」にも期待。